輪唱@梅崎春生【日本文学全集51 永井 龍男 田宮 虎彦 梅崎 春生 集 筑摩書房】

日本文学全集51 永井 龍男 田宮 虎彦 梅崎 春生 集 筑摩書房
昭和50年(1975)2月20発行

CA330055

先日読んだ「「猫の話」が良かったので、梅崎 春生の作品を求め、BOOK OFFで購入(105円)

これは、昭和23年に発行された「輪唱」という作品の中に納められた、「いなびかり」「猫の話」「午砲」の三編からなるひとつの作品であるらしい。

「いなびかり」では、物にしか話かけなくなったおじいさんと、一緒に暮らすおばあさんの老夫婦。
「猫の話」では、都会に暮らす孤独な若者と野良猫。
「午砲」は、岬の一軒家で午砲をならす孤独なおじさんと幼い僕。

このように「輪唱」は、各話毎に、それぞれ独立した物語ではあるが、「いなびかり」の中に登場し、鯨肉を盗み食いするぶち猫は、「猫の話」のカロという猫であり、轢死する原因となったのは、どうやら「いなびかり」の中で、おばあさんの家の台所で、鯨肉を盗み食いした際に、火吹竹で思いっきり横面をなぐられたられたことによるものであることがうかがい知れる。

また、「猫の話」の主人公である若者は、「午砲」の中に登場する少年であり、作品中の蟋蟀(こおろぎ)の詩は、「午砲」に登場するおじさんに子供の頃に教わったものである事を彷彿とさせる(たしかではないが)。

「猫の話」だけでも、良かったが、これら三話がつながることにより、ひとつの作品として完成されている。とても美しい物語。


関連リンク
現代文学大系〈第51〉永井竜男,田宮虎彦,梅崎春生集 (1967年)