ドコモがタワーレコードを傘下に / by Takashi Koide

やっぱり本命はドコモでしたか [R30::マーケティング社会時評]

R30さん曰く
 国内だけ見たら、この勝負ドコモに結構分があるかもと思う。まず、端末をばらまく能力で言ったら、ドコモはAppleの比じゃない。携帯電話機能をつければ通信回線のチャージが別立てで可能だから、イニシャルの端末価格はAppleより安くできる。


ということですが、私の考えは逆です。

この件を、R30さんは、iPodの数とドコモケータイの数というハードウェアのプラットフォーム数の優位性という論点で述べています、ここだけを見るとなるほどそうなのかなと思いますが、実はAppleのiPod戦略では、iTunesのインストールベースの数ことを忘れてはなりません。音楽ダウンロードプラットフォームで、iTunesは圧倒的なマーケットシェアを獲得しています。

プロダクツとして、もはや伝説的なポジションを獲得したiPod。これを牽引役にして、iPodを持ってない人にもタダでiTunesをダウンロードさせる。でもって、ITMSで音楽と、今度は映像の、ダウンロード(購入)プラットフォームの圧倒的なデファクトスタンダードとなる。

ITMSのビジネスの対象となるのは、あくまでiTunesの利用者であり、iPodの購入者のざっと10倍以上(あくまで推測)の膨大なユーザー数です。iTunesを使う人は、もともとiPodの潜在ユーザーでもあるので、iPodがさらに売れる。というモデルなのだと理解しています。

国内では圧倒的な力を持つドコモが、端末に音楽再生機能を実装し、チカラワザでばらまこうとも、iTunesに対抗する、PC上のプラットフォームを用意できない限り、国内でも、ITMSを上回って音楽配信ビジネスのトップになるのはむずかしいでしょう。

ハードウェア、プラットフォーム、コンテンツは、それぞれが独立してオープンである事。これは、インターネットビジネスに関わるそれぞれの分野のプレーヤーが、ビジネスを展開していく上での最も重要な基本的な要件です。この世界では、特定の一社、または企業グループが、それらすべてを囲い込もうとする力に対して、かならず反動が起こります。

ケータイの世界では、このような力学は、さほどはたらかないでしょうから、ドコモがこのへんのところを理解できているかどうか、そこが問題ですね。

ドコモは、Felicaに代表されるプラットフォーム戦略に一生懸命になのはいいですが、肝心のコアビジネスにおいて、魅力的な製品を持たないが故に、若者への訴求が十分でなく、新規契約数でauに水を空け続けられています。

今回のドコモの戦略が、コンテンツを持ったが為に保護主義になった、ソニーの失敗を繰り返さないことを祈ります。